「歯の終活」について

終活という言葉を聞かれたことはありますか?
終活とは、人生の終わりについて考える活動だそうです。


もちろん、いつ向き合うか?は、その人のタイミングでよいとは思います。
「 誰に何と言われようと、私は人生の終わりなんて考えたくない、そのときに考えればいい」と思うならそれもありだと思います。
考え方は人それぞれなので(^_^)

先日「終活」のことをテレビで見て、ある出来事を思い出しブログに書いてみようかなと思ったわけです。

祖父母は数年入院生活をしてましたが、様子を見に行く母はその度に
入れ歯がパカパカしてなに話してるかわからん、食事の時は使ってないようだし…」


「あの総入れ歯、長いことつかってるようだけど作り替えとけばよかったかね…


「入れ歯が口に入ってないと、人相かわるね。あんな顔してたかね?と思う」
と気にかけていたな…と。

「残される人のことを考えると身の回りの物の処分や遺産のことも大事だけど、本人が不自由しないように口の中もちゃんとしておくといよなぁ…本人に困りごとがないことは家族にとっても安心だし手もかからなくてありがたいし…」と個人的には思うのです。

高齢になるといままで当たり前にできていたこともできなくなってきます
歯を削ったり、歯石をとる機械の水でむせやすくなり思うように治療がうけられなかったり、手先が動かせず歯磨きが十分できなかったり…


その結果、それなりに保たれていた歯も歯周病が進行しグラグラして噛めない、自然に抜けて使っていた入れ歯が合わないから使えなくて噛めない、詰め物がはずれたままで虫歯は進み痛くて噛めない…なんてことになる訳です。

足腰の衰えにくわえ、認知症にでもなれば歯科医院に行きたくてもご自身の足では簡単に通院できなくなるようなとても困った状況になる可能性があります。

訪問診療もありますが、外来に通っていた時と同じような 治療は難しいので、通えるうちにしっかりと治療をうけておくことが 大切です。

まだ大丈夫だから・・と先送りにしている歯は ありませんか?
お口の中を確認してみましょう。
●グラグラしているがある
●詰め物や被せ物がとれている
●入れ歯の留め具がとれている
●抜けた歯をそのままにしている
●歯石をとったことがない
など

年齢の目安として70歳以上の方(参考1)は、歯の手入れができない状況になったとしても直ぐに困ることがないように、近い将来、もたないような歯は、抜けるうちに抜いておくことも大切な選択肢の一つです。
残り少ない歯を抜くのは、気がすすまないとは思いますが本当に残すほうがいいのかを先生に相談してみるとよいと思います。そして抜いたあときちんと噛める状態にする
ブリッジ入れ歯などいろんな方法がありますので、あなたに合うものを先生に提案してもらいましょう
むし歯になりにくいように、合っていない詰め物や被せ物をやり直しておくことも重要です。
きちんと治療すれば汚れもたまりにくくなりお口の中の清掃もしやすくなりますよ。

ご家族の方も、「お父さん、入れ歯は使えてる?」などお声をかけて一緒に確認されるとよいですね。

参考1
厚生労働省の調べによると、やはり70代にはいると日常生活に制限をうけるようです。
健康寿命が「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。自力で歯科医院に通院できる期間ということですね。
平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある「健康ではない期間」を意味します。2019年において、この差は男性約9年、女性で約13年でした。
図 平均寿命−健康寿命=健康ではない期間

健康ではない期間(9〜13年)を迎えるまでに、目安として70代になったら積極的に歯科医院に受診して頂き、 治療の必要な歯はきちんとしてもらうことをおすすめします。
「歯の終活」をはじめてみるのはいかがでしょう(^_^)/

投稿者 加藤歯科医院 歯科衛生士 M.M